胆道癌

 胆管は肝臓でつくられる胆汁を十二指腸まで導く導管で、肝臓の中から木の枝が幹に向かって集まるように徐々に合流して太くなっていき、肝臓から出る際に左と右の胆管(左右の肝管)が合流して一本となります。胆管は、肝臓の中を走る肝内胆管と、肝臓の外に出てから十二指腸までの肝外胆管に分けられます。肝外胆管は長さが約8cmの細い「管(くだ)」で、肝門部・上部・中部・下部胆管の4つに区分されます。胆管と合流する胆嚢管という細い管を介して、胆汁を一時的にためておき、濃縮する袋が胆嚢(たんのう)です。胆汁が十二指腸に出てくる出口が十二指腸乳頭です。これら肝内外胆管と胆嚢、十二指腸乳頭部をあわせて胆道と呼びます。胆道の上皮から発生した悪性腫瘍が胆道癌です。
年齢別にみた胆道癌の罹患(りかん)率、死亡率は、ともに50歳代以降増加します。罹患率の年次推移は、男女とも1975年から80年代後半まで増加傾向でしたが、80年代後半から2000年にかけて男性は横ばい、女性は減少傾向になっています。胆嚢癌の死亡率は女性のほうが高く、男性の約1.2倍、胆管では男性のほうが高く、女性の約1.7倍です。胆道癌の死亡率の年次推移は、男女ともに1950年代後半から80年代後半まで増加傾向にありましたが、1990年代から減少傾向にあります。胆道癌罹患率の国際比較では、日本人は他の東アジアの国の人やアメリカの日系移民、欧米人に比べて高い傾向があります。
 胆道癌は、発生率が低いために、疫学的な研究結果は限られています。その中で、胆石や胆嚢・胆管炎、潰瘍(かいよう)性大腸炎、クローン病、原発性硬化性胆管炎、膵(すい)胆管合流異常症などの胆道系疾患の既往は、胆道癌のリスク要因として知られています。その他、女性であること、肥満や高カロリー摂取、野菜・果物の低摂取、出産回数が多いこと、特殊なものとしては、ある種の農薬との関連などがリスク要因の候補として挙げられています。

胆嚢癌

胆嚢癌は胆嚢と胆嚢管の上皮から発生する悪性腫瘍です。

成因
科学的に証明されていませんが、細胞増殖の誘因となる慢性的な炎症が胆嚢癌の成因として支持されています。したがって、胆石が第一のリスクファクターです。3センチを超える大きな胆石では癌化の可能性があります。胆嚢癌の80%以上に胆石が併存し、胆石のある人は胆石のない人の7倍も胆嚢癌に罹患しやすいというデータがあります。その他、膵胆管合流異常(特に胆管拡張を伴わないもの)、原発性硬化性胆管炎、陶器様胆嚢、10ミリを超える胆嚢ポリープがリスクファクターとされています。

症状
 胆嚢癌の初期では、併存する胆石症や胆嚢炎による腹痛や発熱などの症状が出現することはあっても、癌自体による特徴的な症状はありません。しかし、胆嚢癌が進行して、他の臓器(総胆管、十二指腸、肝臓など)に進展すると、その程度により種々の症状が出てきます。
1)腹痛
最もよくみられる症状で、上腹部や右の肋骨の下に鈍痛が出現します。胆石が合併していれば、繰り返しおこる強い痛みや右の背中へ広がる痛みがおこることがあります。
2)黄疸
次によくみられる症状で、癌が進行し胆汁の通路である胆道を閉塞すると出現するものです。通常は進行癌にみられる症状です。
3)腹部腫瘤(しゅりゅう)
右の肋骨の下に腫瘤として胆嚢を触れることがあります。黄疸がある場合は、腫大した肝臓の一部を触れたりします。

診断
1)血液検査
胆のうがんの初期では血液検査で異常は出ません。しかし、癌が近くにある胆道を圧迫するようになると、血清ビリルビンやアルカリフォスファターゼ(ALP)が異常高値となり、さらに進むと黄疸が出ることがあります。腫瘍マーカーであるがん胎児性抗原(CEA)やCA19-9の数値が、胆嚢癌の50~80%で高値になります。ただし、これらの検査は胆嚢癌で必ず上昇するとは限らず、あくまで補助的な検査です。したがって、次にあげる画像検査を受けることが大切です。
2)画像診断
腹部超音波検査は苦痛が少なく反復して行えるので、胆嚢疾患のスクリーニングとして最適です。右上腹部痛の精査として第一選択の検査です。また、人間ドックなどの定期検診でも胆嚢の超音波検査が行われます。この検査により、最近では小さながんや早期のがんが数多く発見できるようになりました。 超音波検査で胆嚢がよく見えない時や胆嚢に何らかの異常が疑われれば、次の検査としてCTやMRIが行われます。これにより、胆嚢癌の確認および癌の周囲への進行状況や、他の臓器への転移の有無などが確認されます。次に、内視鏡を用いて十二指腸への胆道の出口から細い管を胆管に挿入して、直接胆道を造影する内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)と呼ばれる検査があります。さらに、手術を予定している場合には血管造影が行われ、胆嚢癌の肝動脈や門脈への拡がりの有無を調べます。

病期
胆嚢癌がどの程度進行しているかをあらわす目安を病期といい、日本の胆道癌取り扱い規約(第5版)ではIからIV期に分類されています。病期の決定には、胆嚢壁や周囲への進展度(T)、リンパ節転移(N)、肝転移(H)、播種(P)、その他の遠隔転移(M)が用いられています。
I期
癌が胆嚢壁の粘膜や筋層にとどまっており、リンパ節転移もない状態です。
II期
癌が胆嚢壁内にとどまっているが、I期よりは進行している状態です。胆嚢壁や周囲への進展度、リンパ節転移の有無によって細かく規定されています。
III期
癌が胆嚢壁の外に露出した状態を主として示します。リンパ節転移を伴っている場合が多く、肝臓や胆管側への浸潤も認められます。
IV期
胆嚢以外の周囲臓器への浸潤があり、主要な血管への浸潤を認めたり、肝臓・胆管側への浸潤がさらに高度になった状態を示します。リンパ節転移や胆嚢以外の臓器への転移の状況によってIVa期とIVb期にさらに分類されています。 全国集計によれば病期ごとの5年生存率はⅠ期87.5%、Ⅱ期68.7%、Ⅲ期41.8%、Ⅳa期22.3%、Ⅳb期6.3%です。

治療
胆嚢癌の治療は、手術が原則です。胆嚢癌はI期の早期癌であれば胆嚢を摘出するだけでほぼ根治が得られますが、II期以上では胆嚢以外の臓器を合併した切除が必要となり、IV期では切除によっても予後の改善が認められないため、化学療法や放射線療法の適応となります。
1)手術(外科治療)
胆嚢癌は胆嚢壁内にとどまっている場合は胆嚢や肝臓の一部を切除することで比較的良好な予後が得られます。しかし、いったん、胆嚢の壁を越えて、隣接する肝臓や胆管、十二指腸、大腸などの臓器に浸潤すると、複数の臓器を合併した切除が必要となり、再発のリスクも高くなります。肝臓に多くの転移を認める場合、胆嚢から離れたリンパ節に転移を認める場合、腹膜播種のある場合などは、切除を行っても予後の改善が認められないため、他の治療を行うことになります。
(1)単純胆嚢摘出術
I期の胆嚢癌では、胆嚢を摘出するだけで良好な予後が得られます。胆石症や胆嚢炎という診断で腹腔鏡を用いた胆嚢の摘出術が行われ、病理検索を行った結果でがんが判明した場合、I期であれば一般にはそれ以上の追加切除は必要ないことになります。しかし、Ⅱ期以上であれば再度開腹して、リンパ節や肝臓の一部などの追加切除が行われることもあります。 また、10ミリ以上の大きさの胆嚢ポリープなど胆嚢癌が疑われる場合は開腹手術での摘出が原則です。
(2)拡大胆嚢摘出術
II期以上の胆嚢癌を疑う場合に、標準的に行われる術式です。胆嚢を含めて隣接する肝臓の一部と、所属リンパ節を一緒に切除する方法です。癌の進展度によっては総胆管を一緒に切除することもあります。
(3)それ以上の拡大切除
病期III、IVの場合には、病変の状態によっては以下の術式が採用されることがあります。
a) 肝葉切除
胆嚢癌が肝臓に広範に浸潤した場合や、総胆管側に明らかに浸潤した場合は、肝葉切除といって肝臓の右葉を主に切除する必要が生じます。所属リンパ節の切除や胆管の切除を伴い、さらにそれらの臓器を再建することになります。
b) 膵頭十二指腸切除
胆嚢癌は膵臓周囲のリンパ節に転移することも多く、術前に明らかに転移を認める場合や、十二指腸や膵頭部に強い浸潤を認める場合には、膵頭十二指腸切除が行われることがあります。膵臓の頭部、十二指腸、リンパ節、胆嚢や胆管が大きく切除されることになります。
(4)その他の外科治療
切除を目的に開腹を行ったが、播種や肝転移を認めたために、病期を確認するにとどめて、切除は行わない場合があります。これは、切除を行っても予後の改善が期待されないため、患者さんに手術という侵襲を加えないようにするためです。十二指腸や大腸に胆嚢癌が浸潤したために消化管の通過障害がある場合はバイパス術を行うことがあります。

2)抗癌剤による化学療法
胆嚢癌に対する抗癌剤治療は、まとまった報告がありません。投与の方法としては、以下の4つがあります。
(1)経静脈的投与
(2)経動脈的投与
(3)経口投与
(4)局所投与
化学療法が胆嚢癌に対してどの程度有効かは、これから検討されていく問題です(胆管癌の治療参照)。

3)放射線療法
胆嚢癌に対する放射線療法は、一般的にはあまり効果が期待できないといわれています。しかし、放射線によく反応し、がんが縮小したり、胆管閉塞が改善されるため、黄疸が緩和されるなどの効果がみられることがあります。

胆管癌

胆管癌は胆管の上皮から発生する悪性腫瘍です。その発生した部位の胆管により、肝内胆管がんと肝外胆管がんの2種類に分けられますが、一般に「胆管癌」の場合は、主に肝外胆管に発生したがんを指します。肝内胆管癌は肝臓にできた癌として、肝細胞癌(略して肝癌)と一緒に取り扱われることが多いのです。胆管癌は、胆管の内側の粘膜から発生しますが、大きく分けて以下の3つの発育の仕方があります。

1.浸潤(しんじゅん)性発育
肝外胆管がんで最もよくみられます。胆管粘膜から発生した癌は、インクが紙にしみ込むように周辺へ拡がっていきます。
2.胆管内発育
主に胆管の内側の空間にだけ向かって、きのこのようなかたちに盛り上がるように大きくなるものです。
3.腫瘤(しゅりゅう)形成性発育
腫瘍がかたまり(腫瘤)をつくって大きくなります。肝外胆管癌は、1と2の発育形式をとり、肝内胆管癌は主に3の発育をしますが、2やまれには1の発育を示すものもみられます。

成因
肝内胆管癌では肝内結石症、原発性硬化性胆管炎、肝寄生虫症、トロトラストがリスクファクターとされてきました。近年はC型肝炎との関係も指摘されています。肝外胆管癌では胆管拡張型の膵胆管合流異常症、原発性硬化性胆管炎がリスクファクターであります。乳頭部癌についてはリスクファクターといえるものは報告されていませが、十二指腸乳頭部腺腫は前癌病変と考えられています。また、十二指腸乳頭部腺腫は家族性大腸腺腫症(FAP)に合併することも注目されています。

症状
1)黄疸
癌ができることによって胆管内腔は閉塞し、胆汁が流れなくなります。細くなった部分より上流(肝臓側)の胆管は圧が上がって拡張し、ついには胆汁が胆管から逆流して血管の中に入るようになると、胆汁中に含まれるビリルビンという黄色い色素のために皮膚や目の白い部分が黄色くなります。これを閉塞性黄疸といいます。
2)白色便
胆汁が腸内に流れてこなくなると便の色が白っぽいクリーム色になります。日本人は黄色人種なので、黄疸の程度が軽いうちは気がつかず、便の色が白っぽいことで最初に気がつくこともあります。
3)黄疸尿
血液中のビリルビン濃度が高くなると尿中に排泄されるようになり、尿の色が茶色っぽく濃くなります。
4)かゆみ
黄疸が出ると皮膚のかゆみも同時にあらわれることが多く、これは胆汁中の胆汁酸という物質がビリルビンと一緒に血管内に逆流するためです。

診断
胆管癌は前述したように、周りの組織にしみ込むように拡がることが多く、明瞭な腫瘍としてのかたまりをつくらないので、その実体を正確に描出し診断することは容易ではありません。しかし、近年では画像診断技術の進歩により胆管癌をより早期に発見し、またその存在部位や拡がりをかなり正確に診断できるようになりました。
1)腹部超音波検査
胆管の拡張を調べるのに適しており、外科的処置が必要な閉塞性黄疸かどうかの判断にとても有用です。胆管の拡張の仕方を見ることで胆管の閉塞部を推測できます。また、ある程度かたまりとしての腫瘍をとらえることができます。外来で手軽に行うことができ、苦痛も全くなく、すぐに検査結果がわかります。胆管癌や膵癌では、前述のように閉塞性黄疸を伴うことが多いので、超音波検査は最初に行われるべき検査です。
2)CT(コンピュータ断層撮影)
腫瘍の存在部位や拡がりをとらえることができます。胆管の拡張程度・部位も調べることができます。また造影剤を用いることで、腫瘍部・非腫瘍部組織の血流の差を利用して腫瘍を浮かび上がらせることもでき、腫瘍がどの程度周囲の血管に浸潤(しんじゅん:癌が周囲に拡がること)しているかも推測できます。
3)MRI(磁気共鳴画像)
CTと同様に胆管の拡張や病変の存在部位・拡がりを診断できますが、CTとは情報の内容が違い、互いに相補って診断に寄与します。
4)PTC(経皮経肝胆道造影)
がんのために胆汁の流れをせき止められ、太くなった上流の胆管に直接針を刺し、造影剤を注入する方法です。胆管の狭窄(きょうさく)・閉塞の様子が詳しくわかり、腫瘍の存在部位や拡がりの診断に有用です。同時に黄疸の治療として、下流に流れなくなった胆汁を身体の外に導出する処置も行うのが普通です。これをPTCD(経皮経肝胆道ドレナージ術:ドレナージとは「水などをある場所から導き出す」という意味です)といいます。とり出した胆汁中のがん細胞を調べることでがんの確定診断に有用です。また、この経路を使用して、直接胆管の中に細いファイバースコープを挿入し、胆管の粘膜を観察したり、その小さな組織片を採取し、腫瘍の拡がりをより詳しく調べる方法もあります(PTCS:経皮経肝胆道鏡検査)。
5)ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)
ファイバースコープを十二指腸まで挿入し、胆管と膵管の出口である十二指腸乳頭から細いチューブを入れ、造影剤を注入して胆管や膵管のかたちを調べる方法です。PTCとは逆に、詰まっている部分より下流の情報が主に得られます。PTCと併用することで、狭窄・閉塞部位についてより詳しい情報が得られます。
6)その他の検査
血管造影検査は、手術の前に肝臓や膵臓の周りの血管への腫瘍による浸潤や走行異常を調べるために施行します。

病期(ステージ)
胆管癌の進みぐあいは、I期からIV期までの4段階の病期(進行度)で示します。
I期
癌が胆管の中だけにとどまっている段階です。
II期
胆管と隣り合う臓器に拡がっていることが疑われるか、あるいは胆管の近傍のリンパ節に転移をしている状態です。
III期
胆管と隣り合う臓器(膵臓、肝臓、十二指腸、胆嚢など)に明らかに直接浸潤して拡がっていますが、その範囲がごく近傍にとどまっていると考えられる段階です。また、II期より遠くのリンパ節に転移している場合も含みます。
IV期
III期より遠くまで浸潤がおよんでいたり(Ⅳa)、肝臓へ転移していたり、また腹部の中にがん細胞がこぼれて拡がる腹膜播種(ふくまくはしゅ)がある段階です(Ⅳ b)。 全国集計によれば肝門部・上部胆管癌の5年生存率はⅠ期69.8%、Ⅱ期43.3%、Ⅲ期30.5%、Ⅳa期22.3%、Ⅳb期7.2%です。中下部胆管癌ではⅠ期59.5%、Ⅱ期39.3%、Ⅲ期32.6%、Ⅳa期29.6%、Ⅳb期9.7%です。乳頭部癌は胆道癌の中で高い切除率と良好な予後が得られⅠ期82.9%、Ⅱ期66.8%、Ⅲ期49.9%、Ⅳa期33.9%、Ⅳb期0%です。

治療
治療は外科切除が第一治療選択であります。しかし、診断時には大多数が進行例であります。現状では進行例は非切除となる症例が多く、化学療法、放射線療法の役割が重要となっています。
1)外科療法
肝外胆管は、肝臓と膵臓・十二指腸の間にある臓器で、周囲には門脈や肝動脈という重要な血管が走行しているので、手術ではどの程度まで癌が拡がっているかが重要になってきます。胆管の手術では、癌が少し周囲に拡がっただけでも手術で治す(根治的手術)ために、いろいろな臓器を合併切除しなければならなくなります。手術では、胆管とその周囲のリンパ節を含んだ結合組織をまとめて切りとるのが基本です。また、術式は癌が胆管のどの場所にできたかでも違ってきます。
肝門部胆管と上部胆管にできたがんは、肝臓にかかわってきます。肝門部は胆管や血管が肝臓に出入りする場所であり、扇のかなめのような位置にあります。この場所にできた腫瘍を切除するには、かなり限局している場合を除いて、肝臓の左右どちらか半分か真ん中をとるかして、できるだけ根治的な切除を目指します。
下部胆管は膵臓に近接しているので、膵臓の一部を一緒にとる必要があります。中部胆管もそこだけとり除いて済む場合はまれで、肝臓側か膵臓側のどちらかに拡がっています。通常は膵臓を一緒に切除します。また、がんの浸潤範囲が肝門部胆管から下部胆管まで拡がっていると、肝臓・膵臓両方を同時に切除しなくてはならなくなりますが、このような手術はまだ安全に施行できるとはいえない状況なので治療法の選択が難しくなります。
このように胆管癌では定型術式といったものはなく、癌の拡がりに応じた、安全でできるだけ根治的な術式が選択されます。胃癌や大腸癌では、診断・治療の体系がほぼ確立されてきていますが、胆管を含めた肝胆膵領域癌ではまだまだ日進月歩の状態なのです。手術の危険度については、手術規模がかなり大きくなること、肝臓や膵臓などの生命に極めて重要な臓器に直接操作が加わることで、術後合併症や手術死亡は他の臓器のそれより依然高率なのが現状です。手術を受ける前にはその手術でどのようなメリットがあり、どの程度の危険度があるのかをよく理解しておく必要があります。
2)化学療法
切除不能胆道癌に対する現時点での標準治療は化学療法です。有効な抗がん剤としては塩酸ゲムシタビン(GEM)とS-1があります。本邦の第Ⅱ相試験では、GEMは奏効率17.5%、生存期間中央値(MST)7.6ヵ月でした。S-1は奏効率35%、MST8.3ヵ月でした。その汎用性からGEMが第一選択となる場合が多いようです。2009年のASCOではGEM+CDDPが有望なレジメンとして報告され、奏効率25%、MST11.7ヵ月でありました。最近、本邦でもCDDPが保険適応されました。
3)放射線療法
切除不能胆管癌に対する放射線治療は局所制御目的でステントの開存期間延長や疼痛緩和などの一助として行われていますが、臨床的意義は定まっていません。また、腔内照射も試みられていますが、これも有用性の確証が得られていません。

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