B型慢性肝炎

 C型肝炎がインターフェロン治療でウイルスを体内から排除できるのに対して、B型慢性肝炎の場合は完全なウイルス排除は困難ですが、ウイルスがおとなしい状態になるように導きウイルス量を低下させることで病状を進行しないようにすることは可能です(急性肝炎の場合はウイルスはほとんどの場合体内から排除されます)。それには年齢・ウイルスの遺伝子型・ウイルス量・各種ウイルスマーカーを組み合わせて病状を正確に評価する必要があります。「もう抗体ができているから心配ないと言われた」と言って通院するのをやめてしまった患者さんがたくさんおられますが、そのような場合の「抗体」とはHBe抗体を指していることが多く、HBe抗体が陽性であるからと言って安心することはできません。HBe抗体陽性でもウイルス量が低下せず肝炎が持続し徐々に肝硬変に向かって進行してしまうことも稀ではありません。また、比較的若い患者さんの場合、自分の体に備わっている免疫力でウイルスを排除しようとする反応が生じることが多いのですが、この反応が成功すればウイルスはおとなしいタイプへと変化し徐々にウイルス量が減少していきます。この反応が生じている際にはAST、ALTが上昇します。この反応は望ましい反応であるにも関わらず、AST、ALTが上昇しているという理由だけでAST、ALTを低下させるための薬剤を投与されてしまっている患者さんも今までたくさん診てきました。このような望ましい反応が成功する可能性が高い若年の患者さんの場合には、AST、ALTが上昇していてもそのまま経過観察する必要があります。また、インターフェロンを用いてその反応を後押しする必要がある患者さんもおられます。
B型肝炎に対して用いられる薬剤は主にインターフェロンと核酸アナログですが、これも選択を誤ると最善の結果を得ることができません。高血圧の患者さんが服用する降圧剤は飲んでいる間は血圧は安定しますが飲むのをやめると血圧が急に上昇します。核酸アナログも同様で、薬でウイルスを抑えることは可能ですが、内服を中止すると多くの場合ウイルスが急激に増加してきます。そのためやめずに飲み続けることが必要ですが、現在核酸アナログの中で第一選択として用いられるエンテカビルは副作用もほとんどなく、エンテカビルに対する耐性ウイルスの出現も極めて低頻度です(1%/3~5年)。正しい判断のもとでエンテカビルを服用するのが最善であると判断された患者さんは、心配せずに服用していただきたいと思います。インターフェロンは主にHBe抗原陽性の若年者に対して用います。インターフェロン治療の目的はHBe抗原陽性の場合に、活発で増殖力が高いウイルスをおとなしくて増殖しにくいウイルスに変えて肝病変の進行を止めることです。出来る限りその目的を成功させるためには、ただインターフェロンを注射すればよいというものではありません。B型慢性肝炎では自然経過の中で、身体に備わっている免疫の働きによって身体とウイルスとの戦いが生じその結果ALTが上昇しますが、ALTが上昇しきったところでインターフェロンを使用すると最も治療効果が高いことが分かっています。つまり投与するタイミングが非常に重要なわけです。インターフェロンは6ヶ月~1年間という決まった期間に使用する薬剤ですので、計画的に用いることが出来ます。しかし高齢者の方やウイルス量が非常に多い人の場合インターフェロンは効果が得られにくいことも分かっています。先述した核酸アナログとインターフェロンを上手に組み合わせて使用する方法もあり、当院では様々な角度から考えて治療方法を選択します。
このようにB型肝炎については特に正しい考え方で多くの治療経験を有する医師が診療に当たるべきであると考えます。是非当院医師にご相談ください。

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