痔核の治療

 痔核は内痔核、外痔核(血栓)、内外痔核、嵌頓痔核などそれぞれの症例で極めて多彩ですので、発生部位や成因などから正しい診断とそれに即する治療が必要となります。
血栓性外痔核はゴルフのスウィング時のいきみなどで生じる肛門皮下の静脈のうっ血による血栓(血の塊)や血腫(血のたまったできもの)で、突然腫れ、激しく痛みます。血の塊ができるのも特徴です。治療法としては、痛みが激しいときは血栓を切除することが第一です。浮腫性で痛みが軽いときは坐薬・軟膏と投薬(緩下剤)、痛みはないがかゆみや皮膚炎を少し伴うときは皮膚用軟膏での治療、皮垂(皮膚のたるみ)はできるだけ無処置で観察だけとします。
嵌頓痔核は内痔核が脱出した際に脱出部が肛門括約筋で締められて急激なうっ血をきたし、急激に腫脹して元に戻らなくなった状態です。肛門が腫れあがり、激しく強い痛みを伴うことが特徴です。放っておくとさらに大きくなり、痛みもさらに強まります。痛みのために自分で戻すことが困難になりますので、病院で戻してもらうことが多いようです。嵌頓痔核は肛門括約筋で締められたために腫脹しているので、肛門内部に戻すと2、3時間の安静で驚くほど小さくなっていきます。治療法としては、まず鎮痛剤や軟膏を1週間ほど使い、症状を落ち着かせてから手術を行うかどうかを検討します。 嵌頓痔核と内痔核IV度は同じであると誤解されやすいのですが、嵌頓痔核は脱出した痔核が肛門括約筋で締められることによって元に戻らないもの、内痔核?度は滑脱した痔核が肛門が裏返しになったような状態で肛門から出たまま戻らないものをいいますので、同じものではありません。 内痔核は初期の段階では薬で治療を行いますが、症状が進むと手術が必要となります。痔核に対してはPPH法(Procedure for Prolapse and Hemorrhoids)や結紮切除法、ジオン注による治療等があります。症状が軽ければ日帰り手術で済みますが、入院・手術でないと治療できない場合もあります。具体的な症状としては、排便時に脱出して指で戻す必要があったり、血栓による激痛を伴う場合などです。また、くり返し出血して貧血が進んでしまうような場合も手術を考えた方が良いでしょう。主な手術方法について簡単にご説明します。

表1 内痔核の分類
度数 症状 治療法
第Ⅰ度 いきみで腫脹、出血 座薬・軟膏
第Ⅱ度 いきみで脱出するが
自然に出る
座薬・軟膏・注射療法・
ゴム輪結紮療法・ジオン注
第Ⅲ度 いきみで脱出し、
用手整腹が必要
注射療法・結紮切除・
PPH・ジオン注
第Ⅳ度 常に脱出して戻らない 結紮切除・PPH

◆PPH法 (Procedure for Prolapse and Hemorrhoids)
PPHはProcedure for Prolapse and Hemorrhoidsの略語ですが、自動縫合器による内痔核および脱肛の吊り上げ固定術という手術法とその機器セットの両方を意味しています。これはゆるんだ肛門組織を吊り上げて元の位置に戻すことで症状をなくす手術です。痛みを感じる肛門上皮と皮膚には傷ができないので、従来法(結紮切除法)より術後の肛門がきれいで痛みも小さいという利点があります。PPHは痔核自体は切除しませんが、粘膜の切除と同時に、静脈叢の上部にある血流も断つため、術後しばらくすると痔核は自然に退縮します。一般的に内痔核の手術では、動脈の血流を断つ方法を根本治療と称していることからPPHは根本治療だと言えます。術後疼痛が少なく社会復帰が早くできるというメリットがありますが、再発率や術後出血率が従来法(結紮切除法)よりも高いというデメリットがあります。

◆結紮切除法
最も一般的な治療法で、痔核につながる動脈の血流を糸で縛って断ち、痔核を切除する方法です。社会復帰はPPHよりも少し遅くなりますが、再発率や術後出血率はPPHよりも低い手術法です。

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