クローン病の肛門病変

クローン病と肛門病変の合併について
クローン病には、肛門病変が高頻度に合併します.最も多いのが痔瘻(肛門周囲膿瘍)ですが、その頻度はかなり高く、数十%から人により90%という数字もあります.さらに発症してからの期間が長くなればなるほど頻度は高くなり、また、大腸病変を有する患者さんでは高頻度となることが知られています。

肛門病変とはどんなものか
クローン病の病変は、肛門によく発生します。肛門内に腸にできる潰瘍と同じような潰瘍ができることがあり、これを肛門潰瘍と呼びます。また、肛門のなかに裂肛といって前方あるいは後方にできる縦長の潰瘍ですが、一般の裂肛(いわゆる切れ痔)とは異なり、クローン病では潰瘍の幅がひろく周りの粘膜がむくんで腫れています。また、肛門の皮膚が腫れて大きくなり表面に潰瘍を生じているものもあります。これらは、すべてクローン病特有の病変であり、まとめて一次病変と呼びます。これらの一次病変から波及して生ずる病変を二次病変と呼び、最も多いのが痔瘻(じろう)です。痔瘻は瘻孔(ろうこう)といって肛門内の病変からトンネル状に穴が肛門の周りの皮膚に通じているものです。痔瘻になる前の状態の肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)は膿がたまって肛門のまわりが腫れてくるものです。熱や痛みを伴ってくると切開をして排膿する必要があります(図1)。また、肛門に皮膚のたるみができ大きく腫れてくるものもあり、皮垂(ひすい)と呼びます。肛門全体の炎症が長く続くと炎症により肛門が狭くなることもあります(肛門狭窄)。女性の場合、痔瘻が前方に発生し膣に通じてしまうことがあり。膣から便やガスが排泄されることがあります。(肛門膣瘻、あるいは直腸膣瘻)
クローン病の肛門病変

肛門病変の治療
一次病変に対しては、クローン病そのものに対する治療となりますが、薬物治療としてペンタサ、フラジールなど抗菌薬、イムラン、ロイケリンなどの免疫調節薬、レミケードなどが用いられます。また、栄養療法としては絶食の上で中心静脈栄養、成分栄養が、また、局所療法としては痔疾用薬剤(軟膏、坐剤)が用いられます。 一次病変から波及した二次病変に対しては、必要に応じ外科治療が選択されます。単純で浅い痔瘻に対しては切開開放術、複雑または肛門括約筋を貫くような深い痔瘻に対してはシートン法(痔瘻結紮療法)が行われます。シートン法は「ひも、糸、ゴム」を痔瘻に通す方法で、内部にたまった膿を排出するために長期間留置します。(図2)
クローン病の肛門病変

一方、これらの治療を行っても、痛みや炎症が落ち着かない場合や排便機能が低下して便回数が非常に多い場合や失禁を伴う場合には、人工肛門(ストーマ)を造設する場合もあります.重症な肛門病変を有する患者さんでは通常のクローン病患者よりも生活の質(QOL)が低下しており、ストーマを造設することによりQOLが改善することが知られています。

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