妊娠・分娩を自然な生理的現象として捉えようとする安全神話が、今も尚、人口に膾炙している。勿論、我が国の妊産婦リスクは近年の医療の進歩と産婦人科医・新生児科医、そして助産師らの弛まぬ努力により激減したことは事実であります。一方、医療介入が十分でないアジア・アフリカの低開発国の妊産婦リスクは我が国の百倍以上と言われ、この数字的背景が妊娠分娩の持つ自然発生的母体リスクと言えるでしょう。
より良い周産期医療には、妊娠・分娩経過観察を通し、先ずリスク因子の把握、次いで生理的な妊娠・分娩軌道から逸脱しようとする病態の早期発見、そして、それに対する適切な医療介入が求められます。
当院のモットーに従い、主役はあくまでも妊産婦さん自身である事の認識と自覚の上、妊娠分娩を可及的に自然な生理的経過に委ね、無闇な医療介入を挟まず、但し必要に応じた適切な医療の介入。つまり、医療側のなすべき勤めは、自然経過から逸脱しようとする症例に対し、出来る限り妊産婦さん自身の力で正常な軌道への修復努力する助言と手助けを行い、そして説明・同意の上、互いに協力し安全な妊娠・分娩を目指す事であります。
女性の一生に亘る疾病、即ち、ホルモン異常、感染症、婦人科良性・悪性腫瘍、不妊症、更年期疾患などをはじめ、自覚症状が乏しく予後不良である卵巣がん、そして子宮がんの早期発見、更には妊娠時の糖尿病や妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)罹患婦人が中年に至り糖尿病、高血圧などメタボリック症候群に罹病し易い事から、ガン検診と同時にこれら疾患の早期発見に努めて参ります。尚、婦人科手術は可能な限り手術創の小さな、且つ回復の早い腹腔鏡下での手術も施行しております。
終わりに、医療従事者はより良質な医療提供を心掛け、自己研鑽を積む努力を日夜惜しまない覚悟であります。
阪和住吉総合病院 産婦人科
統括部長 福田 洋
顧問 日高 敦夫 |